委任状とは?いつ使う?
委任状とは、本人に代わって第三者(代理人)が手続きや行為を行うことを認める文書です。本人が直接行けない場合に、代理人が役所・銀行・法務局などで手続きを行う際に提出します。
用途によっては書式が指定されている場合(銀行や証券会社等)もあるため、事前に手続き先に確認することが重要です。
用途別・自作の委任状で通るのはどれか
委任状でいちばん多い失敗は、書き方そのものより 「その提出先は自作の委任状を受け付けるのか」を確かめずに持って行くことです。提出先によって扱いがはっきり分かれます。
| 手続き | 委任状の扱い |
|---|---|
| 住民票・戸籍・印鑑登録証明書の取得 | 自作でよい。 「用紙・書式は問わない」と明記する自治体が多く、押印も廃止が進んでいる(府中市は住民票の写し・戸籍証明書の交付申請について押印不要と明記)。ただし委任者本人の全文手書きを求める自治体もあるので事前に確認する |
| 印鑑登録の申請 | 用紙は自由でも、本人が全項目を手書きするのが原則。 パソコンで作成した委任状は受け付けないと明記する自治体がある(板橋区)。押すのは認印ではなく 登録する印鑑そのもの |
| 銀行・信金・証券会社 | 所定用紙と考えて先に取り寄せる。 ゆうちょ銀行は所定様式が必須で、さらに「委任する方がすべての欄を自筆で記入のうえ捺印」が条件のため、パソコンで作った委任状は使えない |
| 相続登記・法定相続情報一覧図 | 自作でよい。 法務局は申請書の様式は配っているが委任状の様式は配っていない。誰の相続かを特定するため被相続人の情報が要る(→相続手続きの委任状) |
| 年金の相談・請求 | 自作でよい。 日本年金機構は様式を配っているが、必要事項を記載した任意の用紙でも有効。ただし基礎年金番号・生年月日・性別・電話番号・交付方法まで書く必要がある |
| 自動車の名義変更(移転登録) | 配布されている様式を使うのが確実。 国土交通省・各運輸支局が委任状の用紙を配っている(行政書士事務所の解説では必要事項が揃えば別様式でも受理されるとされるが、運輸局の案内は様式の配布までしか述べていないので、配布様式を使うのが確実)。押印は実印で、印鑑証明書は旧所有者・新所有者の双方について求められる |
見分け方は「様式を配っているか」だけでは決まりません。金融機関は様式を配っていればその用紙が必須と考えてください。一方、役所・法務局・年金事務所は様式や記載例を配っていても自作を受け付けるのが一般的で、自動車の登録のように「自作でも通るが、配布様式を使ったほうが確実」という中間もあります。判断がつかないときは、提出先に「自分で作った委任状で受け付けてもらえますか」と一言確認するのが確実です。
よくある質問から理解する委任状の基本
Q. どんな場面で委任状が必要ですか?
→ 代表的な例として、役所での各種証明書取得・印鑑登録手続き・銀行口座の解約・遺産分割協議・株主総会での議決権行使・不動産取引などがあります。
Q. 委任状に決まった書式はありますか?
→ 法律上の定型書式はありません。ただし金融機関では所定の用紙を使うよう求められることが多く、役所や法務局は様式や記載例を配っていても自作を受け付けるのが一般的です。用途ごとの違いは上の表を参照してください。
Q. 印鑑は必要ですか?
→ 手続きによって違います。重要な手続き(不動産・金融機関など)では実印と印鑑証明書の添付を求められる一方、法定相続情報一覧図の申出や、住民票・戸籍証明書の交付申請のように押印そのものを廃止している提出先もあります。提出先の案内を確認してください。
Q. 有効期限はありますか?
→ 委任状の有効期間は法律上の定めはありませんが、有効期間を明記することが一般的です(例:「令和○年○月○日まで有効」)。
記載すべき項目
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイトル | 「委任状」と明記 |
| 委任先(代理人) | 氏名・住所・連絡先 |
| 委任する内容 | 何を代理で行うかを具体的に |
| 有効期限 | 必要に応じて記載 |
| 委任者(本人) | 氏名・住所・連絡先(押印の要否は提出先による。上の表を参照) |
| 作成日 | 委任状を作成した日付 |
文例集
例文1: 一般的な委任状(役所での手続き用)
※住民票・戸籍の交付申請は押印を廃止した自治体が多くあります。不要なら押印欄ごと省いてかまいません。
委 任 状
私は、下記の者を代理人と定め、以下の手続きを委任いたします。
【代理人】 氏名: ○○ ○○ 住所: ○○県○○市○○丁目○番○号 電話: 000-0000-0000
【委任事項】 ○○市役所における、住民票(○通)の取得手続き一切
【有効期限】 令和○年○月○日まで
令和○年○月○日
【委任者(本人)】 氏名: ○○ ○○ (印) 住所: ○○県○○市○○丁目○番○号 電話: 000-0000-0000 生年月日: 昭和・平成○年○月○日
例文2: 銀行口座に関する手続きの委任状
※金融機関は所定の委任状用紙を用意していることが多く、相続手続き用は一般の手続き用と様式が別のこともあります。持参する前に、その金融機関で自作の委任状が使えるかを必ず確認してください。
委 任 状
私は、下記代理人に対し、以下の通り権限を委任いたします。
【代理人】 氏名: ○○ ○○ 住所: ○○県○○市○○ 電話: 000-0000-0000
【委任事項】 ○○銀行 ○○支店における口座解約手続きおよびその他一切の手続き 対象口座: 普通預金 口座番号 ○○○○○○○
【有効期限】 令和○年○月○日
令和○年○月○日
【委任者】 氏名: ○○ ○○ (実印) 住所: ○○県○○市○○丁目○番○号 生年月日: 昭和・平成○年○月○日
※本委任状と共に、委任者の印鑑証明書・本人確認書類の写しを添付いたします。
例文3: 株主総会の議決権行使(委任状)
委 任 状
私は、下記の者を代理人として定め、令和○年○月○日開催の第○期定時株主総会において、私に代わって議決権を行使する権限を委任いたします。
【代理人(氏名)】 ○○ ○○
令和○年○月○日
【委任者(本人)】 氏名: ○○ ○○ (印) 住所: ○○県○○市○○丁目○番○号
例文4: 不動産手続きの委任状(詳細版)
委 任 状
私は、下記代理人に対し、以下に掲げる不動産の売買に関する一切の権限を委任いたします。
【代理人】 住所: ○○県○○市○○丁目○番○号 氏名: ○○ ○○
【委任する不動産】 所在: ○○県○○市○○丁目 地番: ○番○ 種類: 宅地(○○.○○㎡)
【委任事項】
- 上記不動産の売買契約の締結
- 手付金・残代金の授受
- 所有権移転登記の申請に関する一切の手続き
- その他上記に附帯する一切の事項
【有効期限】 令和○年○月○日まで
令和○年○月○日
【委任者】 住所: ○○県○○市○○丁目○番○号 氏名: ○○ ○○ (実印)
注意事項——委任状を使う前に確認すること
手続き先への事前確認
委任状を持参する前に、手続き先(役所・銀行・証券会社等)に次の点を確認しておくと安心です。
- 所定の様式があるかどうか
- 添付書類(印鑑証明書・本人確認書類等)の要否
- 委任者・代理人それぞれの持ち物
委任状の改ざん防止
- 金額や委任事項の後に「以下余白」と記載する
- 訂正が必要な場合は二重線+訂正印(使用した印鑑と同じものを使う)
無効になるケース
- 委任者の自筆署名がない(押印は提出先によって要否が異なります)
- 委任事項が具体的でなく曖昧すぎる
- 代理人の氏名・住所が書かれていない
- 必要な書類(印鑑証明書等)が不足している
参考
- 杉並区「委任状の書き方」(用紙・書式は問わない/印鑑登録は登録した印鑑)
- 板橋区「印鑑登録の代理申請」(パソコンで作成した委任状は受付不可と明記)
- 府中市「委任状について」(住民票の写し・戸籍証明書の交付申請は押印不要)
- ゆうちょ銀行「委任状について」(所定様式・全欄自筆・捺印)
- 法務局「不動産登記の申請書様式」(申請書の様式は配布されているが委任状の様式は含まれない)
- 日本年金機構「年金相談や手続きを代理人に委任するとき」(任意の用紙でも有効/記載事項)
- 九州運輸局「申請書類の入手方法について(自動車登録関係)」(委任状の様式配布)

