訃報連絡文書とは、誰が書くものか
訃報の連絡文書は、身内や社員の死去を社内・社外へ知らせる文書です。書く立場によって伝える相手も文面も変わります。
- 社員本人が上司へ伝える一報 → 忌引き休暇の連絡が中心。忌引き休暇の連絡・申請を参照してください
- 総務・人事が社内へ知らせる → 従業員の家族の死去、または従業員本人の死去を、業務への影響(忌引き期間・引き継ぎ)とあわせて伝える
- 会社が取引先へ知らせる → 家族葬のため弔問・香典・弔電を辞退する案内、または社葬の案内
このページは主に後半2つ、会社として作成する訃報連絡文書を扱います。
基本構成
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 1. 誰が亡くなったか | 続柄(敬称の使い分けは下記)・氏名 |
| 2. いつ | 死去した日 |
| 3. 葬儀の形式 | 家族葬か一般葬か、日程・会場(公開する場合のみ) |
| 4. 弔問・香典・弔電の可否 | 辞退する場合は明確に、かつ丁重に伝える |
| 5. 業務への影響 | 忌引き期間・代理の連絡先 |
| 6. 問い合わせ先 | 詳細を確認したい人向けの窓口 |
例文集
例文1: 社内向け・従業員の家族の死去を伝える
件名: ○○さん(○○部)ご家族のご逝去について
各位
○○部○○さんのお父様が、○月○日にご逝去されました。
○○さんは○月○日まで忌引き休暇を取得されます。この間の業務につきましては、△△さんが窓口となりますので、ご用件のある方は△△さんまでご連絡ください。
ご家族の意向により、弔問・ご香典は辞退されるとのことです。何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。
総務部
例文2: 社内向け・従業員本人の逝去を伝える(最も配慮が要る文面)
件名: 【訃報】○○部 ○○さんのご逝去について
各位
このたび、○○部○○さんが○月○日にご逝去されました。ここに謹んでご報告申し上げます。
在職中は皆様にも大変お世話になったことと存じます。ご遺族のご意向により、葬儀は近親者のみで執り行われ、弔問・ご香典・供花は辞退されるとのことです。
社としての対応(弔電の手配等)は総務部で行いますので、個別のご連絡・ご訪問はお控えいただきますようお願い申し上げます。
ご不明な点は総務部○○までお問い合わせください。
総務部
例文3: 社外取引先向け・家族葬のため弔問・香典を辞退する案内
件名: ○○の忌引き休暇について(ご連絡)
株式会社○○ ○○様
平素よりお世話になっております。株式会社○○ 総務部でございます。
弊社○○部○○の父が、○月○日に死去いたしました。葬儀は故人および家族の意向により、近親者のみにて執り行います。誠に勝手ながら、ご弔問・ご香典・ご供花につきましては謹んでご辞退申し上げます。
○○は○月○日まで忌引き休暇をいただいております。その間のご用件は、△△(TEL: ○○-○○○○-○○○○)が承ります。
ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
株式会社○○ 総務部 TEL: ○○-○○○○-○○○○
例文4: 社外取引先向け・社葬の案内
件名: 弊社代表取締役 ○○ 社葬のご案内
株式会社○○ ○○様
謹啓 弊社代表取締役社長 ○○が、かねてより療養中のところ、○月○日に死去いたしました。享年○○歳でした。
生前のご厚誼に深く感謝申し上げるとともに、ここに謹んでお知らせ申し上げます。
なお、葬儀は近親者にて執り行い、社葬を下記の通り執り行います。
記
日時: ○月○日(○) ○時〜 会場: ○○(住所: 〒○○○-○○○○ ○○県○○市○○) 喪主: ○○(続柄)
なお、ご厚志(ご香典・ご供花・ご弔電等)につきましては、誠に勝手ながら固くご辞退申し上げます。
謹白
株式会社○○ 社葬事務局 TEL: ○○-○○○○-○○○○
例文5: 弔電・お悔やみへの御礼状
件名: ご弔慰への御礼
株式会社○○ ○○様
このたびは、弊社○○の死去に際しまして、ご丁重なお悔やみのお言葉(ご弔電)を賜り、誠にありがとうございました。
おかげさまで、無事に葬儀を終えることができました。ご厚情に深く感謝申し上げます。
まずは略儀ながら書中をもちまして御礼申し上げます。
株式会社○○ 総務部
続柄の敬称の使い分け
会社が第三者(社内外の他の人)に対して、ある人の家族の死を伝えるときは、身内を敬う敬称を使います。
| 続柄 | 敬称 |
|---|---|
| 父 | ご尊父様・お父様 |
| 母 | ご母堂様・お母様 |
| 夫 | ご主人様・ご夫君様 |
| 妻 | ご令室様・奥様 |
| 息子 | ご子息様 |
| 娘 | ご令嬢様 |
| 祖父母 | ご祖父様・ご祖母様 |
| 兄弟姉妹 | ご令兄様・ご令姉様・ご令弟様・ご令妹様 |
一方、忌引きを申請する本人が自分の家族を指すときは、これらの敬称は使わず「父」「母」「妻」のように、続柄をそのまま書きます(敬称を付けると自分の身内への不自然な敬語になります)。使い分けの詳しい理由は忌引き休暇の連絡・申請の「死去」と「ご逝去」の項でも解説しています。
避けたい表現
| 避けたい書き方 | 理由・言い換え |
|---|---|
| 重ね言葉(重ね重ね・たびたび・再三・引き続き) | 不幸が重なる・続くことを連想させる。「深く」「心より」「今後とも」等に言い換える |
| 社外向け文書で「ご逝去」を自社の人間に使う | 取引先など社外から見れば自社は「身内」。「死去」を使う(社内向けに同僚の死を伝える場合は敬意を込めて「ご逝去」を使ってよい) |
| 家族葬の事情を詮索するような文面 | 「ご遺族のご意向により」とだけ書き、理由に踏み込まない |
| 弔問・香典辞退を曖昧にする | 「差し控えさせていただければ」のような婉曲表現だけで終えず、辞退の意思をはっきり書く(相手が判断に迷わないようにする) |
よくある質問
Q. 家族葬の場合、なぜ弔問・香典を辞退する文面が必要?
A. 家族葬は近親者のみで行うため、会社関係者が個別に弔問・香典を送ると、かえって遺族の対応の手間を増やしてしまいます。辞退の意向を明確に伝えることが、遺族への配慮になります。
Q. 社葬と家族葬(密葬)の文面はどう違う?
A. 社葬は日時・会場を公開し参列を案内する文書、家族葬は近親者のみで行う旨と弔意の辞退を伝える文書です。目的が逆なので、どちらの案内かを冒頭で明確にします。
Q. 訃報を受け取った側はどう返信すればいい?
A. お悔やみメールを参照してください。訃報を伝える側と受け取る側では書くべき内容が異なります。
関連テンプレート
- 忌引き休暇の連絡・申請 — 社員本人が上司へ伝える一報
- お悔やみメール — 訃報を受け取った側が送る言葉
- 香典に添える手紙 — 参列できない場合に送る手紙
参考
- 文化庁「敬語の指針」(平成19年2月 文化審議会答申)
- 一般社団法人日本経営協会「ビジネス文書検定テキスト」
